前穂高岳北尾根◆写真
2014/05/05 Mon 12:00:00 [edit]
アルパイン、樋口です。
GW後半、北アルプス南部、前穂高岳北尾根の登攀に挑戦、成功しましたので、報告します。
残雪期ですが、雪のある北尾根は結構手強い、そういうイメージが強いこと、先の年末年始で北尾根八峰のラッセルで敗退していることもあり、事前準備は可能な限り実行し、体力も技術力も共にレベルUPして、とにかく力尽くの、真っ向勝負の山行でした。
[奥穂高岳山頂]
【日時】2014.5.2-5
【山域】北アルプス南部
【山名】前穂高岳 慶応尾根・北尾根の縦走/登攀
【形式】アルパインクライミング
【参加者】CL樋口、前田
【行程】
2014.5.1 前夜発
習志野東部体育館 21:10
松本市営沢渡駐車場 01:30 (仮眠)
2014.5.2 晴
沢渡市営駐車場 7:00
上高地 7:28着 7:40発 計画書を提出し、出発。
徳澤園 9:28着
新村橋 9:59通過。奥又白谷に入る。
パノラマ新道方向に方向転換 11:13
慶応尾根合流 12:52 慶応尾根に取り付く。
年末年始の敗退地点 14:12 通過 悪夢を思い出す。
2460mマイナーピーク 14:36着 八峰へつづく慶応尾根の素晴らしい雪稜!北尾根丸見え!。
北尾根八峰 16:25着 テント泊 だれもいない。涸沢のテント村が足元に。槍ヶ岳から奥穂、吊尾根から前穂、そして北尾根全て見える。素晴らしい眺望。
2014.5.3 晴 昼前から霧時々雪、日の入り前から晴れ
テント撤収、北尾根八(Ⅷ)峰 5:00出発
北尾根Ⅶ峰 5:26通過 この先懸垂下降地点あり。
Ⅶ・Ⅷのコル 5:58着 Ⅵ峰核心の昇りに取り付く。
Ⅵ峰下部岩稜核心部 6:15通過
Ⅵ峰下部雪稜核心部 6:33通過
Ⅵ峰狸岩基部 7:07着 狸岩にハーケンが刺さっていて狸が泣いている。
Ⅵ峰上部雪稜核心部 7:25通過
Ⅵ峰 7:45 通過 Ⅴ峰が目の前に。涸沢からⅤ・Ⅵのコルに向かう踏み跡が見えてきた!。
Ⅴ峰 8:37着 あたりまえだけどⅣ峰が目の前に迫る!。
Ⅳ峰核心取り付き 9:23
Ⅳ峰 10:10着
Ⅲ・Ⅳのコル 10:56発 北尾根Ⅲ峰 登攀開始!!
Ⅲ峰核心部通過 12:53 3ピッチ目へ
Ⅲ峰 14:18着
Ⅱ峰 14:46着
前穂高岳本峰 15:10着 北尾根縦走登攀終了 前穂高岳山頂にてテント設置、テント泊
2014.5.4 晴 昼前から時々曇り
テント撤収、前穂高岳山頂 7:49出発 5時頃目が覚める、モルゲンロートが始まっている!。
素晴らしい吊尾根の雪稜歩き。
南稜の頭 9:58 通過
奥穂高岳山頂 10:07着 10:45発
白出のコル(穂高山荘) 11:45着、
涸沢 13:45着 やったやった、大塚隊に会えた!。ヤッホー。大塚隊と隣り合わせでテント張り。大宴会にお邪魔します。広木隊とも会えました。
2014.5.5 早朝から雪、下部は雨。
涸沢 テント撤収 7:02出発
横尾 8:45着
徳澤園 9:43着 ソフトクリームとコーヒーを注文
上高地 11:40着
【内容】
GWは前半と後半の2本立てで、前半は劔岳八峰主稜を後半は前穂高岳北尾根をそのように計画を立てたが、前半は天気が崩れ(結果的には天気の崩れが後ろにずれた)、八峰主稜は中止に、後半戦の前穂高岳北尾根登攀のみとなり、失敗は許されない、そんな心境に追い込まれた。そもそも前穂高岳北尾根登攀は無雪期は3年前の集中山行で
Ⅴ峰から上部のみの経験で、積雪期は経験がない。先の年末年始に慶応尾根から北尾根を挑戦するもあまりの積雪量でラッセル敗退していまった、今となってはラッセルも楽しかったけれど、敗退したことの悔しさだけが強く残ってしまった。
とりあえず、春でよいから雪の豊富なうちに慶応尾根から北尾根Ⅷ峰に取り付き、北尾根末端のⅧ峰から本峰の前穂高岳を登頂することが私自身の課題である。
その相棒を探すが、これがなかなかいない。でも、ちば山の新人である、前田さんがGWに北尾根に行きたい、と私に訴える。
習志野フリークライミングクラブで、急成長中の若い女性であることは承知であったが、ほんとうに行きたいのか、という問いかけに対して、行きたいと返ってくる。
前田さんは雪山の経験としてはマチガ沢雪上訓練と白毛門雪山に参加したので、見た感じでは問題ないだろう、縦走重荷も夏山で経験しているようなので、残るはザイルワークとアイゼン登攀が課題か、4月の一か月間で猛特訓しないと行けないことを伝えると、とんとん拍子で岩トレのスケジュールが決まる。
鋸山、三つ峠、市原の長い階段、丹沢広沢寺と岩トレ・ロープワークとアイゼン登攀の練習を重ね、なんとか一緒に登攀できるレベルに向上できたかな。
私、樋口と前田の前穂高岳北尾根登攀隊を結成した。
不安と緊張感とワクワク感が混ざり合って、そんなときに、渡邉(三)さんの「慎重かつ大胆に」という言葉をいただき、がらりと変わる、挑戦したい気持ちで一杯になる。これまでやってきた経験・筋トレ・トレーニングしたことを思い出し、自分を信用しよう。
2014.5.1
習志野東部体育館でクライミング後、出発。
天気は良くなりそうである。でも後半崩れる予報となり、ちょっぴり心配。
幕張SAで夕食をとり、一気に沢渡へ、突っ走る。
2014.5.2 晴
沢渡の市営駐車場は3割程度の稼働率か。なんだか暑くなるような雰囲気がする、陽ざしを強く感じる。上高地も想定外ですが、ガラガラで。
順調にいけば二日後に雪稜を歩き登頂するだろう、前穂と奥穂、その間の吊尾根が河童橋の梓川からバッチリ見える。
先を急ぐ、徳澤園で前田さんはソフトクリームを食べる、今となっては少し後悔する、俺も頼めばよかったかと。でもやっぱり下山に食べた方がいいかな。
徳澤園で水を補給し、新村橋から先は人里離れ無人地帯に入る、この先、北尾根Ⅳ峰まで誰とも会うことなかった。
出会えた生き物は、ぐわぁぐわぁと鳴くまだまだ色白の雷鳥ぐらいかな。
奥又白谷に入ると雪上歩行となる、北尾根を全て見渡せるようになったところで、パノラマ新道沿いの急な雪渓を効率よく昇る。パノラマ新道は標高約2100mで慶応尾根を横切る。
そこで、慶応尾根に取り付く、すると、年始に付けた赤布が出てきたぞ。
樹林帯の中の急登が続き、嫌な記憶が蘇る、そして徐々に木々の密度が小さくなり急斜面の尖った雪稜にとなる、そうだ、ここは年末年始で1m前進するのに1分以上かかる、そんなラッセルとの闘いであったことを思い出す、それで早くこの急な雪面から脱出したい、そんな辛い記憶を打ち消したく、ひたすら前進する、そうすると樹林帯を抜け出し、2460mのマイナーピークに到着する。
すごいぞ。北尾根が目の前にどか~んと現れた。屏風の頭からⅧ峰・・・Ⅵ峰の狸岩、Ⅳ峰そして前穂高岳本峰まで北尾根を全て見渡せる。Ⅷ峰までの美しい慶応尾根の雪稜も素晴らしい。これこそアルパインを挑戦しないと観賞できない、アルパインの特権である。
初日の目的地Ⅷ峰までもう少し、Ⅷ峰に付けば、涸沢や北穂高岳、槍ヶ岳がみえると思うと、重たい足が前に出る。もう16時をまわっている。Ⅷ峰に到着。
Ⅷ峰はちょうど風よけとなる窪地があり、そこにテントを張る。
Ⅷ峰からの展望は予想通り、いや、想定外の大パノラマ展望台で、槍ヶ岳から奥穂高岳までの槍-穂高連峰を全て見渡せる、そして視線を左に逸らし吊尾根・前穂高岳から
足元のⅧ峰までつながっている北尾根を一望できる。こんな展望を独占できるからたまりませんね。
涸沢のテント村も見えます!、まだ規模が小さいです。
でもこれから先の北尾根の雪稜をみるとちょっぴり心細くなる、
あんな急峻な雪稜のアップダウンを登降できるのだろうか?。
1ついえることは、雪が腐る前にできるだけ早く標高の低い雪稜を通過すること。
ということで、朝4時半出発することで就寝する。
2014.5.3 晴
昼前から霧時々雪、日の入り前から晴れ
今日もまた素晴らしい青空のもと、テントを撤収。5時に出発。
振り向けばいつでも槍-穂高連峰がみえるんですから幸せですね。
Ⅷ峰まで頼りない?踏み跡はあったのだが、なんとこの先涸沢に下りているではないか!。
ということで、Ⅷ峰からⅤ・Ⅵのコルまでの区間は私たちが先陣となってトレースを付けることになる。
少し不安となるが、自らルートを決めて前進するわけで、これまた遣り甲斐があるわけで。
細い雪稜は崩れちゃうんじゃないかと踏み出す初めの一歩は腰が引けるが、バランスとれると快適な歩行が可能となる。
あっという間にⅦ峰を通過、Ⅵ峰が迫ってくる。コルへの懸垂下降の支点を発見するも、クライムダウンでコルへ降り立つ。
Ⅵ峰はどのようにルート取りすればよいのだろうか?。悩みだす。
結構やばいんじゃない?。これだという答えがないまま、Ⅵ峰の昇りに取りかかかる、やっぱりスタンスの細かいコーナーの岩昇りだけどこれが弱点じゃないかと読んで、アイゼンの前爪を効かせて強硬突破。
その先も非常に急な雪稜斜面で、しかも早くも雪が腐りだし、そうとう時間をかけて足場を踏み固めないと崩れてしまうので前進できない。気が遠くなる作業となる。
でも手を抜けない。
タヌキ岩の基部で小休止、ここまでの区間は際どい昇りの連続でザイルを出すべきであった。
少なくとも2個所、使える支点があったのだ。タヌキ岩から先は再び急な雪稜斜面となり、気の抜けない慎重な昇りとなる。
Ⅵ峰に到着、いよいよ、Ⅴ峰、Ⅳ峰と北尾根の核心部に侵入する。
Ⅴ・Ⅵのコルから先は、涸沢からの先陣の踏み跡があって利用させていただく。
Ⅴ峰の昇りは特に問題なし、Ⅴ峰からⅣ峰を見上げる、上部で結構厳しい昇りになるだろう。
稜線を忠実に辿ると、少しハング気味の大岩にぶつかる、ここで涸沢側か、奥又白側か、正面直登が迷う。
結果としては無雪期と同じ、ルートを選んだが、奥又白側へのルンゼに取り付くまでの区間が悪い。慎重に通過する。
またこの先は無雪期のルートとは異なり、ルンゼを直登し、そのままⅣ峰まで直登した。
ここも支点があった。不安を感じる登攀者がいるならばアンザイレンすべきだろうか。
Ⅳ峰からⅢ峰を観察する、登攀コールが聞き取れる。涸沢からの先行パーティーがⅢ峰核心部をちょうど登攀中だ。
あ~、難しいルートを昇っているぞ。左の3級ルートか中央の4級ルートを登攀するか、迷いながら、Ⅲ・Ⅳのコルに到着。
ここも、テント張れます!。当初の計画では、二日目はここⅢ・Ⅳのコルにテント泊し、翌朝一番にⅢ峰を登攀する計画であったが、まだ10時半であること、登攀渋滞が発生していないこと、さらにやはり明日から天気が崩れるかもしれないということから、前穂高岳本峰まで一気に登攀することとした。
Ⅲ峰の登攀開始地点はザイルを出して解くような場所がないので、Ⅲ・Ⅳのコルで登攀準備に取り掛かる。
そして、コルから3峰の登攀開始地点までの区間もアンザイレンした。
いよいよ北尾根核心部Ⅲ峰の登攀です。ダブルロープ50m1本で、つるべ登攀スタートです。
<1ピッチ目>
コルから3峰の登攀開始地点までの区間もアンザイレン。リード前田さん。
ザイルワークのおさらいにちょうどいいですね。
<2ピッチ目>
樋口リード。通常、25mでピッチを切って2ピッチで昇る区間をザイル50mフルに使い、1ピッチで核心部を突破した。
核心部のルートは左の3級ルートか中央の4級ルートを登攀するか、最後まで迷い、初めは4級ルートに進んだが、人口登攀になってしまうことと、やはりテントと炊事・寝泊まり道具を持ってのアイゼン登攀は難しく、前田さんが昇ることも踏まえ、左の3級ルートに切り替えた。
ただ、シングルロープなので、ロープの流れが悪くなることを心配し、中間支点は長めのスリングを使い、ザイルの屈折を極力すくなくするよう心掛けた。
ピッチを短く切ること考えたが、無雪期で使ったピナクルの支点(ビレイ点)を見つけられず、そのまま、チョックストーンのあるチムニー上部のビレイ点までロープを全長50mギリギリまで使い、なんとかピッチを切ることできた。ロープの流れは思ったよりも悪くなく、結果的に登攀時間を短縮できたと思う。
このピッチ、前田さんが苦戦したようだ。なかなか上がってこない、でも初めての登攀が北尾根の、それもアイゼン付けて、重荷を背負ってですから。よく頑張りました。頼もしいです、これから先が楽しみですね。
<3ピッチ目>
前田リードでここは無積雪期と同じ左上するクラック沿いを昇ってゆく。
うん、前田さん、いいんじゃない。経験積んでくださいね。
<4ピッチ目>
樋口リード、一気にⅢ峰頂上直下へ。頂上直下の手前に少し短いけれど前傾している岩があって、そうそう、ここは3年前の集中山行ではザックを背負ってはどうしても昇れず、ザックを引き上げてもらい、昇った記憶がある。
今回は、前回よりも重たいザックを背負ってしかもアイゼン履いて、するっと通過。クライミング練習の成果かな?。
少し成長しているということで。
Ⅲ峰登攀終了!。
Ⅲ峰登攀中から天気が急変し、霧に覆われしまし、視界が悪くなる。
Ⅱ峰はあっというまに到着、さっさと懸垂下降して、いよいよ本峰の昇りとなる。
でも霧に包まれた前穂高岳山頂はどこなのかはっきりせず。
そういえば山頂は広かったかな。視界が悪く、風も強し。小雪も舞ってきた。
今日は、前穂高岳山頂にテントを張って一晩明かそう。
最後の力?を振り絞り、スコップで雪を掘り起し、テントの整地を行う。
掘り起こした雪のブロックを積み上げて風雪ブロックを築きあげる。
これで安眠を約束できる。お疲れ様。テントの中で登攀成功を祝う!!
温かいおでんをつつく。今日こそ好きなだけ寝るぞ。起床時間はともに目が覚めたらでいいよね。
明日は、吊尾根から奥穂高岳をめざし、あとは涸沢に下山するだけさ。一般ルートを歩けるんだから安心です。
そして、涸沢に入るちば山の方々に会えることがとても楽しみで。
2014.5.4 晴 昼前から時々曇り
夜明けとともに目を覚ます。また快晴か。朝食を取ったころに、岳沢から昇ってくるパーティーでにぎわい出す。
軽装であることに驚く。今朝は冷え込んだ。雪面もガチガチだ。
昨日登攀した北尾根をマジマジと観察する。昨日と同じく、槍-穂高連峰がそこにある、ていう感じ。
吊尾根をみて奥穂高岳を見る、西穂高岳方面の稜線は今回初めて見れたかな。
明神岳東稜で一夜を過ごしたパーティーもテントをたたんでいるぞ。
さて、われわれも前穂高岳山頂を出発しよう。
吊尾根は快適な雪稜歩きだ。途中懸垂下降地点もあったが、ダガーポジションでクライムダウン。
思う存分吊尾根の雪稜歩きを楽しめた。奥穂高岳山頂は大賑わい。
私たちのザックの大きさは半端じゃないですね、よく背負ってここまで来たもんだと語り合う。
去年のGWで苦戦したロバの耳をみて、西穂高岳方面の核心であること痛感した。
奥穂高岳山頂で小休止後、白出のコルへ向かう。いつもの急斜面で大渋滞。
仕方がありません。渋滞を抜け、涸沢に急降下。一昨日の3倍ぐらいテント村が膨らんでいる。
涸沢に着いたら、今日涸沢入りする大塚隊のテントを探す。ないぞと思ったらとりあえず、テントの設置場所を確保して、涸沢ヒュッテで待っていようと向かったら、なんと、大塚隊の皆さんがちょうどいらっしゃいました。
お疲れ様です。大塚隊の男性陣、高梨さん・渡辺(三)さん・岩元さん・三代川さんがテントの整地作業に入る、私も加わる。あっという間に整地完了。ツエルトを含め
4つのテントが並ぶ。宴会会場に招待下さり、お邪魔します。
太陽の周りに虹ができているとのことで、写真家・斎藤(健)さんがテントを飛び出す。
宴会場に広木隊もやってきました。
涸沢にちば山13名、ねぇねぇ、ひょっとしたら例会よりも人数多いんじゃない、なんてね。
神山さん、お酒のおつまみや夕食を提供下さりありがとうございます。なんだか、一口入れるごとに幸せ感じちゃって。
つくづく思う、いろいろなパーティーが最終目的地に集合する山行も楽しいかな。
すみません、過度の水分不足で、気分が悪くなり、お先に失礼しました。
2014.5.5 早朝から雪、下部は雨。
今日は上高地へ下山するだけ。一足先にテント撤収、大塚隊の皆様にお別れの挨拶を。
お世話になりました。下山は、徳澤園でのソフトクリームを食べるとこ、下界で温泉に浸かり、美味しい食事をすること、登頂するときとは全く別な楽しみ。
無事に下山。お疲れ様でした。
下山してから一週間後、山行報告を書こうと、デジカメの写真を覗く。
これが、観賞モードにはいちゃって、あっという間に時間がながれてゆく。
輝いていて、懐かしい思い出ばかり。やっぱり今回の山行はとても楽しかったんだ、あらためてそう思った。恐らく前田さんも私もお互いそう思っているのではないかと。
+写真集へのリンク+
GW後半、北アルプス南部、前穂高岳北尾根の登攀に挑戦、成功しましたので、報告します。
残雪期ですが、雪のある北尾根は結構手強い、そういうイメージが強いこと、先の年末年始で北尾根八峰のラッセルで敗退していることもあり、事前準備は可能な限り実行し、体力も技術力も共にレベルUPして、とにかく力尽くの、真っ向勝負の山行でした。

[奥穂高岳山頂]
【日時】2014.5.2-5
【山域】北アルプス南部
【山名】前穂高岳 慶応尾根・北尾根の縦走/登攀
【形式】アルパインクライミング
【参加者】CL樋口、前田
【行程】
2014.5.1 前夜発
習志野東部体育館 21:10
松本市営沢渡駐車場 01:30 (仮眠)
2014.5.2 晴
沢渡市営駐車場 7:00
上高地 7:28着 7:40発 計画書を提出し、出発。
徳澤園 9:28着
新村橋 9:59通過。奥又白谷に入る。
パノラマ新道方向に方向転換 11:13
慶応尾根合流 12:52 慶応尾根に取り付く。
年末年始の敗退地点 14:12 通過 悪夢を思い出す。
2460mマイナーピーク 14:36着 八峰へつづく慶応尾根の素晴らしい雪稜!北尾根丸見え!。
北尾根八峰 16:25着 テント泊 だれもいない。涸沢のテント村が足元に。槍ヶ岳から奥穂、吊尾根から前穂、そして北尾根全て見える。素晴らしい眺望。
2014.5.3 晴 昼前から霧時々雪、日の入り前から晴れ
テント撤収、北尾根八(Ⅷ)峰 5:00出発
北尾根Ⅶ峰 5:26通過 この先懸垂下降地点あり。
Ⅶ・Ⅷのコル 5:58着 Ⅵ峰核心の昇りに取り付く。
Ⅵ峰下部岩稜核心部 6:15通過
Ⅵ峰下部雪稜核心部 6:33通過
Ⅵ峰狸岩基部 7:07着 狸岩にハーケンが刺さっていて狸が泣いている。
Ⅵ峰上部雪稜核心部 7:25通過
Ⅵ峰 7:45 通過 Ⅴ峰が目の前に。涸沢からⅤ・Ⅵのコルに向かう踏み跡が見えてきた!。
Ⅴ峰 8:37着 あたりまえだけどⅣ峰が目の前に迫る!。
Ⅳ峰核心取り付き 9:23
Ⅳ峰 10:10着
Ⅲ・Ⅳのコル 10:56発 北尾根Ⅲ峰 登攀開始!!
Ⅲ峰核心部通過 12:53 3ピッチ目へ
Ⅲ峰 14:18着
Ⅱ峰 14:46着
前穂高岳本峰 15:10着 北尾根縦走登攀終了 前穂高岳山頂にてテント設置、テント泊
2014.5.4 晴 昼前から時々曇り
テント撤収、前穂高岳山頂 7:49出発 5時頃目が覚める、モルゲンロートが始まっている!。
素晴らしい吊尾根の雪稜歩き。
南稜の頭 9:58 通過
奥穂高岳山頂 10:07着 10:45発
白出のコル(穂高山荘) 11:45着、
涸沢 13:45着 やったやった、大塚隊に会えた!。ヤッホー。大塚隊と隣り合わせでテント張り。大宴会にお邪魔します。広木隊とも会えました。
2014.5.5 早朝から雪、下部は雨。
涸沢 テント撤収 7:02出発
横尾 8:45着
徳澤園 9:43着 ソフトクリームとコーヒーを注文
上高地 11:40着
【内容】
GWは前半と後半の2本立てで、前半は劔岳八峰主稜を後半は前穂高岳北尾根をそのように計画を立てたが、前半は天気が崩れ(結果的には天気の崩れが後ろにずれた)、八峰主稜は中止に、後半戦の前穂高岳北尾根登攀のみとなり、失敗は許されない、そんな心境に追い込まれた。そもそも前穂高岳北尾根登攀は無雪期は3年前の集中山行で
Ⅴ峰から上部のみの経験で、積雪期は経験がない。先の年末年始に慶応尾根から北尾根を挑戦するもあまりの積雪量でラッセル敗退していまった、今となってはラッセルも楽しかったけれど、敗退したことの悔しさだけが強く残ってしまった。
とりあえず、春でよいから雪の豊富なうちに慶応尾根から北尾根Ⅷ峰に取り付き、北尾根末端のⅧ峰から本峰の前穂高岳を登頂することが私自身の課題である。
その相棒を探すが、これがなかなかいない。でも、ちば山の新人である、前田さんがGWに北尾根に行きたい、と私に訴える。
習志野フリークライミングクラブで、急成長中の若い女性であることは承知であったが、ほんとうに行きたいのか、という問いかけに対して、行きたいと返ってくる。
前田さんは雪山の経験としてはマチガ沢雪上訓練と白毛門雪山に参加したので、見た感じでは問題ないだろう、縦走重荷も夏山で経験しているようなので、残るはザイルワークとアイゼン登攀が課題か、4月の一か月間で猛特訓しないと行けないことを伝えると、とんとん拍子で岩トレのスケジュールが決まる。
鋸山、三つ峠、市原の長い階段、丹沢広沢寺と岩トレ・ロープワークとアイゼン登攀の練習を重ね、なんとか一緒に登攀できるレベルに向上できたかな。
私、樋口と前田の前穂高岳北尾根登攀隊を結成した。
不安と緊張感とワクワク感が混ざり合って、そんなときに、渡邉(三)さんの「慎重かつ大胆に」という言葉をいただき、がらりと変わる、挑戦したい気持ちで一杯になる。これまでやってきた経験・筋トレ・トレーニングしたことを思い出し、自分を信用しよう。
2014.5.1
習志野東部体育館でクライミング後、出発。
天気は良くなりそうである。でも後半崩れる予報となり、ちょっぴり心配。
幕張SAで夕食をとり、一気に沢渡へ、突っ走る。
2014.5.2 晴
沢渡の市営駐車場は3割程度の稼働率か。なんだか暑くなるような雰囲気がする、陽ざしを強く感じる。上高地も想定外ですが、ガラガラで。
順調にいけば二日後に雪稜を歩き登頂するだろう、前穂と奥穂、その間の吊尾根が河童橋の梓川からバッチリ見える。
先を急ぐ、徳澤園で前田さんはソフトクリームを食べる、今となっては少し後悔する、俺も頼めばよかったかと。でもやっぱり下山に食べた方がいいかな。
徳澤園で水を補給し、新村橋から先は人里離れ無人地帯に入る、この先、北尾根Ⅳ峰まで誰とも会うことなかった。
出会えた生き物は、ぐわぁぐわぁと鳴くまだまだ色白の雷鳥ぐらいかな。
奥又白谷に入ると雪上歩行となる、北尾根を全て見渡せるようになったところで、パノラマ新道沿いの急な雪渓を効率よく昇る。パノラマ新道は標高約2100mで慶応尾根を横切る。
そこで、慶応尾根に取り付く、すると、年始に付けた赤布が出てきたぞ。
樹林帯の中の急登が続き、嫌な記憶が蘇る、そして徐々に木々の密度が小さくなり急斜面の尖った雪稜にとなる、そうだ、ここは年末年始で1m前進するのに1分以上かかる、そんなラッセルとの闘いであったことを思い出す、それで早くこの急な雪面から脱出したい、そんな辛い記憶を打ち消したく、ひたすら前進する、そうすると樹林帯を抜け出し、2460mのマイナーピークに到着する。
すごいぞ。北尾根が目の前にどか~んと現れた。屏風の頭からⅧ峰・・・Ⅵ峰の狸岩、Ⅳ峰そして前穂高岳本峰まで北尾根を全て見渡せる。Ⅷ峰までの美しい慶応尾根の雪稜も素晴らしい。これこそアルパインを挑戦しないと観賞できない、アルパインの特権である。
初日の目的地Ⅷ峰までもう少し、Ⅷ峰に付けば、涸沢や北穂高岳、槍ヶ岳がみえると思うと、重たい足が前に出る。もう16時をまわっている。Ⅷ峰に到着。
Ⅷ峰はちょうど風よけとなる窪地があり、そこにテントを張る。
Ⅷ峰からの展望は予想通り、いや、想定外の大パノラマ展望台で、槍ヶ岳から奥穂高岳までの槍-穂高連峰を全て見渡せる、そして視線を左に逸らし吊尾根・前穂高岳から
足元のⅧ峰までつながっている北尾根を一望できる。こんな展望を独占できるからたまりませんね。
涸沢のテント村も見えます!、まだ規模が小さいです。
でもこれから先の北尾根の雪稜をみるとちょっぴり心細くなる、
あんな急峻な雪稜のアップダウンを登降できるのだろうか?。
1ついえることは、雪が腐る前にできるだけ早く標高の低い雪稜を通過すること。
ということで、朝4時半出発することで就寝する。
2014.5.3 晴
昼前から霧時々雪、日の入り前から晴れ
今日もまた素晴らしい青空のもと、テントを撤収。5時に出発。
振り向けばいつでも槍-穂高連峰がみえるんですから幸せですね。
Ⅷ峰まで頼りない?踏み跡はあったのだが、なんとこの先涸沢に下りているではないか!。
ということで、Ⅷ峰からⅤ・Ⅵのコルまでの区間は私たちが先陣となってトレースを付けることになる。
少し不安となるが、自らルートを決めて前進するわけで、これまた遣り甲斐があるわけで。
細い雪稜は崩れちゃうんじゃないかと踏み出す初めの一歩は腰が引けるが、バランスとれると快適な歩行が可能となる。
あっという間にⅦ峰を通過、Ⅵ峰が迫ってくる。コルへの懸垂下降の支点を発見するも、クライムダウンでコルへ降り立つ。
Ⅵ峰はどのようにルート取りすればよいのだろうか?。悩みだす。
結構やばいんじゃない?。これだという答えがないまま、Ⅵ峰の昇りに取りかかかる、やっぱりスタンスの細かいコーナーの岩昇りだけどこれが弱点じゃないかと読んで、アイゼンの前爪を効かせて強硬突破。
その先も非常に急な雪稜斜面で、しかも早くも雪が腐りだし、そうとう時間をかけて足場を踏み固めないと崩れてしまうので前進できない。気が遠くなる作業となる。
でも手を抜けない。
タヌキ岩の基部で小休止、ここまでの区間は際どい昇りの連続でザイルを出すべきであった。
少なくとも2個所、使える支点があったのだ。タヌキ岩から先は再び急な雪稜斜面となり、気の抜けない慎重な昇りとなる。
Ⅵ峰に到着、いよいよ、Ⅴ峰、Ⅳ峰と北尾根の核心部に侵入する。
Ⅴ・Ⅵのコルから先は、涸沢からの先陣の踏み跡があって利用させていただく。
Ⅴ峰の昇りは特に問題なし、Ⅴ峰からⅣ峰を見上げる、上部で結構厳しい昇りになるだろう。
稜線を忠実に辿ると、少しハング気味の大岩にぶつかる、ここで涸沢側か、奥又白側か、正面直登が迷う。
結果としては無雪期と同じ、ルートを選んだが、奥又白側へのルンゼに取り付くまでの区間が悪い。慎重に通過する。
またこの先は無雪期のルートとは異なり、ルンゼを直登し、そのままⅣ峰まで直登した。
ここも支点があった。不安を感じる登攀者がいるならばアンザイレンすべきだろうか。
Ⅳ峰からⅢ峰を観察する、登攀コールが聞き取れる。涸沢からの先行パーティーがⅢ峰核心部をちょうど登攀中だ。
あ~、難しいルートを昇っているぞ。左の3級ルートか中央の4級ルートを登攀するか、迷いながら、Ⅲ・Ⅳのコルに到着。
ここも、テント張れます!。当初の計画では、二日目はここⅢ・Ⅳのコルにテント泊し、翌朝一番にⅢ峰を登攀する計画であったが、まだ10時半であること、登攀渋滞が発生していないこと、さらにやはり明日から天気が崩れるかもしれないということから、前穂高岳本峰まで一気に登攀することとした。
Ⅲ峰の登攀開始地点はザイルを出して解くような場所がないので、Ⅲ・Ⅳのコルで登攀準備に取り掛かる。
そして、コルから3峰の登攀開始地点までの区間もアンザイレンした。
いよいよ北尾根核心部Ⅲ峰の登攀です。ダブルロープ50m1本で、つるべ登攀スタートです。
<1ピッチ目>
コルから3峰の登攀開始地点までの区間もアンザイレン。リード前田さん。
ザイルワークのおさらいにちょうどいいですね。
<2ピッチ目>
樋口リード。通常、25mでピッチを切って2ピッチで昇る区間をザイル50mフルに使い、1ピッチで核心部を突破した。
核心部のルートは左の3級ルートか中央の4級ルートを登攀するか、最後まで迷い、初めは4級ルートに進んだが、人口登攀になってしまうことと、やはりテントと炊事・寝泊まり道具を持ってのアイゼン登攀は難しく、前田さんが昇ることも踏まえ、左の3級ルートに切り替えた。
ただ、シングルロープなので、ロープの流れが悪くなることを心配し、中間支点は長めのスリングを使い、ザイルの屈折を極力すくなくするよう心掛けた。
ピッチを短く切ること考えたが、無雪期で使ったピナクルの支点(ビレイ点)を見つけられず、そのまま、チョックストーンのあるチムニー上部のビレイ点までロープを全長50mギリギリまで使い、なんとかピッチを切ることできた。ロープの流れは思ったよりも悪くなく、結果的に登攀時間を短縮できたと思う。
このピッチ、前田さんが苦戦したようだ。なかなか上がってこない、でも初めての登攀が北尾根の、それもアイゼン付けて、重荷を背負ってですから。よく頑張りました。頼もしいです、これから先が楽しみですね。
<3ピッチ目>
前田リードでここは無積雪期と同じ左上するクラック沿いを昇ってゆく。
うん、前田さん、いいんじゃない。経験積んでくださいね。
<4ピッチ目>
樋口リード、一気にⅢ峰頂上直下へ。頂上直下の手前に少し短いけれど前傾している岩があって、そうそう、ここは3年前の集中山行ではザックを背負ってはどうしても昇れず、ザックを引き上げてもらい、昇った記憶がある。
今回は、前回よりも重たいザックを背負ってしかもアイゼン履いて、するっと通過。クライミング練習の成果かな?。
少し成長しているということで。
Ⅲ峰登攀終了!。
Ⅲ峰登攀中から天気が急変し、霧に覆われしまし、視界が悪くなる。
Ⅱ峰はあっというまに到着、さっさと懸垂下降して、いよいよ本峰の昇りとなる。
でも霧に包まれた前穂高岳山頂はどこなのかはっきりせず。
そういえば山頂は広かったかな。視界が悪く、風も強し。小雪も舞ってきた。
今日は、前穂高岳山頂にテントを張って一晩明かそう。
最後の力?を振り絞り、スコップで雪を掘り起し、テントの整地を行う。
掘り起こした雪のブロックを積み上げて風雪ブロックを築きあげる。
これで安眠を約束できる。お疲れ様。テントの中で登攀成功を祝う!!
温かいおでんをつつく。今日こそ好きなだけ寝るぞ。起床時間はともに目が覚めたらでいいよね。
明日は、吊尾根から奥穂高岳をめざし、あとは涸沢に下山するだけさ。一般ルートを歩けるんだから安心です。
そして、涸沢に入るちば山の方々に会えることがとても楽しみで。
2014.5.4 晴 昼前から時々曇り
夜明けとともに目を覚ます。また快晴か。朝食を取ったころに、岳沢から昇ってくるパーティーでにぎわい出す。
軽装であることに驚く。今朝は冷え込んだ。雪面もガチガチだ。
昨日登攀した北尾根をマジマジと観察する。昨日と同じく、槍-穂高連峰がそこにある、ていう感じ。
吊尾根をみて奥穂高岳を見る、西穂高岳方面の稜線は今回初めて見れたかな。
明神岳東稜で一夜を過ごしたパーティーもテントをたたんでいるぞ。
さて、われわれも前穂高岳山頂を出発しよう。
吊尾根は快適な雪稜歩きだ。途中懸垂下降地点もあったが、ダガーポジションでクライムダウン。
思う存分吊尾根の雪稜歩きを楽しめた。奥穂高岳山頂は大賑わい。
私たちのザックの大きさは半端じゃないですね、よく背負ってここまで来たもんだと語り合う。
去年のGWで苦戦したロバの耳をみて、西穂高岳方面の核心であること痛感した。
奥穂高岳山頂で小休止後、白出のコルへ向かう。いつもの急斜面で大渋滞。
仕方がありません。渋滞を抜け、涸沢に急降下。一昨日の3倍ぐらいテント村が膨らんでいる。
涸沢に着いたら、今日涸沢入りする大塚隊のテントを探す。ないぞと思ったらとりあえず、テントの設置場所を確保して、涸沢ヒュッテで待っていようと向かったら、なんと、大塚隊の皆さんがちょうどいらっしゃいました。
お疲れ様です。大塚隊の男性陣、高梨さん・渡辺(三)さん・岩元さん・三代川さんがテントの整地作業に入る、私も加わる。あっという間に整地完了。ツエルトを含め
4つのテントが並ぶ。宴会会場に招待下さり、お邪魔します。
太陽の周りに虹ができているとのことで、写真家・斎藤(健)さんがテントを飛び出す。
宴会場に広木隊もやってきました。
涸沢にちば山13名、ねぇねぇ、ひょっとしたら例会よりも人数多いんじゃない、なんてね。
神山さん、お酒のおつまみや夕食を提供下さりありがとうございます。なんだか、一口入れるごとに幸せ感じちゃって。
つくづく思う、いろいろなパーティーが最終目的地に集合する山行も楽しいかな。
すみません、過度の水分不足で、気分が悪くなり、お先に失礼しました。
2014.5.5 早朝から雪、下部は雨。
今日は上高地へ下山するだけ。一足先にテント撤収、大塚隊の皆様にお別れの挨拶を。
お世話になりました。下山は、徳澤園でのソフトクリームを食べるとこ、下界で温泉に浸かり、美味しい食事をすること、登頂するときとは全く別な楽しみ。
無事に下山。お疲れ様でした。
下山してから一週間後、山行報告を書こうと、デジカメの写真を覗く。
これが、観賞モードにはいちゃって、あっという間に時間がながれてゆく。
輝いていて、懐かしい思い出ばかり。やっぱり今回の山行はとても楽しかったんだ、あらためてそう思った。恐らく前田さんも私もお互いそう思っているのではないかと。
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